IP/IT Law 日誌

IP/IT(知的財産及び情報通信)に関する法律について情報発信をしていきます。

ゲームアプリと消費者保護問題

ゲームアプリと消費者保護問題について検討する機会を得たのですが、なかなか準備が進まないので、ここは気分を変えて、ブログにして進めてみたいと思います。*1


日本においてゲームアプリに関する消費者保護問題として注目を集めたものは、コンプガチャの問題が一番でしょう。また、未成年者が課金サービスを利用することで、高額の料金を請求されるというトラブルも報告されていました。

前者については、消費者庁から通達が出されて、コンプガチャが景表法に基づき禁止されている「カード合わせ」に該当することが明らかにされて、一応の決着を見ているといえます。

未成年者による高額利用やそれに伴う返金請求については、消費者庁平成26年度版消費者白書で、2010年から2013年までの相談件数の増加が指摘されていました。また、2014年度においても、未成年者に関する相談の内訳をみると、やはりオンラインゲームを含むデジタルコンテンツについての相談が、小学生から大学生までの各世代において最も件数が多くなっているという記録もありました。しかし、この問題は、最新の消費者白書を見てみると、やや古い問題となりつつあるようです。平成27年度版消費者白書では、特に未成年者によるオンラインゲーム利用の問題についての相談がクローズアップされてはいません。推測ではありますが、コンプガチャの規制、消費者長などによる啓もう活動、ゲーム業界の自主的な取り組みが寄与し、実際に未成年者による高額におよぶオンラインゲーム利用は減少してきたのではないかと思います。

このような状況下で事業者が気を付けなくてはならないのは、業界での自主的な取り組みに取り残されないことです。仕事がら、国内外のIT事業者の方から、自国以外に事業進出をするにあたって進出先国の法制度についての調べてほしいという依頼を受けることが非常に多いですが、その際、法律ではなくても、業界において尊重されている業界の自主基準などがあるか、という質問を受けることが多いです。ゲームアプリのように法律よりもダイナミックな動きを見せる分野については、法律の整備が追い付かないこともあり、そのような場合に、業界で慣例的に実施されているスタンダードを満たすような対策を取っていたかどうかという点は、法律的な責任の有無の判断にも影響を与えうるため、そのような自主基準についても調査することは非常に良いことだと思います。新しいゲーム開発の足かせになるような横並びは望みませんが、リスク管理の一つの視点として、業界の自主基準も気に留めておく必要があるでしょう。

ところで未成年問題と言いますと、選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられますね。これに端を発し、成人年齢が問題となるいろいろな法律について、成人年齢を変更するべきかどうかという議論がされています*2。年齢制限が設けらている趣旨ごとに丁寧な議論を望みます*3

*1:報告に影響のない範囲で公表しております。ご心配なきよう。

*2:一例として、こちら

*3:例えば、選挙権が与えられるからといってお酒が飲めないのはおかしい、というのは短絡的で、きちんとアルコールの若年者への影響などを考えるべきだと思います