日弁連意見書(知財高裁大合議)
前のブログからの引っ越しを考えている間に、書き留めておきたいことが出てきたので、先にアップしてしまいたいと思います。
日本版アミカスクリエ
世界中で注目を集めているサムソン社とアップル社の特許訴訟ですが、日本でも、東京地裁がFRAND宣言に言及し、特許権の行使を認めないとする判決を下したことが、報道でも取り上げられていました。東京市地裁の判決はこちら(裁判所HP)で見られます。
当該事件は控訴され、現在、知財高裁に係属中(飯村敏明裁判長)ですが、そこで、裁判所が、両当事者を通じて、当該事件についての意見募集をし、当事者のもとに集められた資料は、当事者が裁判所に証拠として提出する、という手続きが取られました。珍しさもあり、こちらも報道(日経新聞HP)されています。
このような手続きは、アメリカにはあるのですが(アミカスクリエと呼ばれます)、日本の民訴法上は具体的な根拠規定を欠くため、裁判所が当事者の協力という形で実現したものといわれており、実際そうだと思います*1。
この意見募集に応じて日弁連が提出したという意見書が、日弁連のサイトで公開されています。
詳細には読めていませんが、一読してまず目についたのが、日本版アミカスクリエを実施したことに対する賛同でした。そこは、今回の意見募集の対象事項ではないので、ある意味、日弁連の強い気持ちが表れているのかなという気がします。
この意見募集の場をそういう風に使っていいのかどうかという点はさておいて、日本版アミカスクリエへの賛意については、私も賛同したいと思います。具体的な根拠規定を欠く中で現行法で許される範囲において、当事者以外の意見も広く受け入れようとする裁判所の姿勢は評価されるべきです。また、それに応じた両当事者のことも忘れてはなりません。集められた意見の中には、必ずしも自己に有利なもの場会ではない可能性もあります。また、通常ならば生じない事務的な負担を当事者が負うことにもなります。
法の規定がなくても実現できたのは、裁判所の熱意と当事者の理解があったからだと言えますが、広く意見を募集することの重要性にかんがみれば、やはり裁判所が主体的に行える法的な枠組みがあった方がいいでしょう。今後、導入に向けた積極的な検討が期待されます。